出来心から、「現代アート投資セミナー」などというものに行ってまいりました。
結論から言えば(自分がやるかどうかはともかく)行ってみてよかったです。
万人におすすめできるものではありませんが、アート、それも現代アートに興味のある方であれば、刺激的な話がたくさん聞けたことと思います。
アートは、投資としてはかなりマニアックな部類かもしれません。
ジャンルわけするとすれば、金・プラチナやワイン、最近一部で話題のコインなどと同類の、実物投資に入ります。
じつは……現代アートというのは私のホームグラウンドでもありまして。
そういう立場からするとどうしても、アート投資にはいろいろ複雑な感情を抱いてしまいます。
投資に関心を持つ以前の自分であれば、アートで投資なんて不純だわ!ときっと無関心を装ったことでしょう。
実際今回も、当初はまったく参加の意思はありませんでした。
ところがあれこれ考えているうちに、自分が関わってきた分野を別の切り口から見てみるのも勉強になるのではないか?という思いがむくむくとわいてきました。
見る・作って売る側からだけでなく、買う・転売する側の気持ちも知ってみたい。
そんな好奇心です。
ここはひとつ、冷やかしででも行ってみようか。
冷やかしといいつつ清水の舞台から飛び降りる気持ちで参加費の1万円を支払い、緊張しまくりながらの単独参加とあいなりました。
そもそもが、セミナーなどというものに参加すること自体今回が初めてです(笑)
セミナーでは、近〜現代のアートの歴史についての簡単な説明から始まりました。
現代アートになじみのない方でもわかりやすく、なぜあのような(一般的にいって不可解な)作品群に高値がついていくのかのシステムをざっくりと。
そしてどのような作品に値がつき、あがっていくのかのポイントなども。
かつて東京都現代美術館が税金によって購入し、その6億という高値で批判をあびた「ヘアリボンの少女」(ロイ・リキテンシュタイン作)を覚えておいででしょうか?
あれ、いまいくらになってるかご存知ですか?
現在オークションに出せばおそらく80億はくだらないそうです。
当時はさんざん叩かれましたが、結果的にいい買い物だったといってかまわないのではないでしょうか。
資本主義によって作られたシステムに乗っかって、なんだかそら恐ろしい世界がくりひろげられているようで……
そちらの側の世界の話を聞いているだけで金銭感覚がおかしくなっていきそうです。
(50億のキャッシュ持参で大手オークションに参加しても、3点買えれば御の字の世界なんて恐ろしすぎる。)
まあそこまではいかなくても、しかるべき作品を選べば、数十万程度の作品が10倍20倍に大化けするなんてこともザラだそうです。
その「しかるべき作品」を選ぶという部分がいちばん楽しくもあり、いちばん難しい部分でもあるのでしょうけど。
ただ気に入ったからといって適当にイルカの絵とかディズニーランドの絵とか買っても、投資としては全然ダメなわけです。(もちろん純粋に自分が好きで買ったのであれば問題ないです。)
大きく値上がりが期待できる作品はやはり最低でも数十万、できれば数百万以上から、という世界。
リスク軽減のための分散投資ということを考えると、どうしてもある程度の資産規模がないと難しいと思いました。
実物投資の割合を全資産の数%で押さえるためには、やはり最低でも一千万クラスは必要でしょうか。
実は今回のセミナーでは実際に購入可能な小品も見せていただけて、そのうち1点がかなり好きなタイプで思わず購入しそうになりましたが、すでに予約済み。
おかげで正気になりました。
金額的にまだちょっと自分には早かったです。
お金のかかる趣味だと思えば思い切って買っても全然かまわない世界だと思うのですが……
もし投資と両立させたい気持ちがあるのであれば、自分のアセットアロケーションとか、そういう面からもじっくり考えたほうがよいでしょうね。
なまじ少しアートをかじったもので未練たらたらでしたが、もっとお金持ちになってから買おう!と目標を新たにしたのでした。
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